イスラボニータのしなやかなイン差しーーマイラーズカップ(2017年)回顧

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1着馬に安田記念への優先出走権が与えられるマイラーズカップは、大外枠から道中インに潜り込み直線で馬場の真ん中を伸びたイスラボニータが勝利しました。

2着には外目追走から差し脚を伸ばしたエアスピネル、3着には2番手から前で粘ったヤングマンパワーが入線。

 

エアレーション作業なしの京都の芝

京都の芝コースは前開催でかなり傷んだ馬場を考慮して、路盤を柔らかくするエアレーション作業は実施されませんでした。

土曜日の京都のレースを観ても、時計はそこそこ速いもののパワー型の馬が台頭する馬場。阪神>京都に適性のある馬の活躍が目立ちました。

マイラーズカップの行われた日曜日は極端なインベタの傾向は見られませんでしたが、土曜日よりもやや軽くなった馬場になり、勝ったイスラボニータにとっては追い風だったと思います。

 

レース内容

好スタートを切ったエアスピネルの内から松若騎手が押してサンライズメジャーがハナへ。2番手にヤングマンパワー、すぐ後ろにエアスピネルと内を追い上げたフィエロが続きます。圧巻だったのは3角過ぎではイスラボニータがいつの間にか最内におさまっていたことで、これはルメール騎手の好判断。

サンライズメジャーの逃げは前後半の800mが47.3 - 44.9と2.4秒差の後傾ラップになり、これではさすがに外から脚を伸ばしたブラックスピネルとプロディガルサンには厳しい流れに。

直線でイスラボニータとエアスピネルの間に挟まれて後退してしまったフィエロにとっては残念なレースになってしまい、粘るヤングマンパワーをイスラとエアが交わしたところがゴールでした。

 

イスラボニータ 1着

前走の阪神Cでの先行策が今回のレースに活かされました。スタートを出てからルメール騎手が内目に進路を取り、4角では前の先行勢を見ながらどこを捌くかだけのレースに。

フィエロの前を横切ってヤングマンパワーとエアスピネルの間を割って出てくる時の脚はさすがGⅠ馬のもので、しなやかなストライドで走るイスラボニータにとって、マイラーのパワーが必要な前傾ラップにならなかったのもプラスだったと思います。

3歳時のセントライト記念以来の約2年半ぶりの勝利には頭が下がります。昨年からマイル路線に照準を絞ったローテーションが組まれ、前走はデビュー後初の1400mに挑戦するなど、マイルGⅠを制覇するための準備に余念がないことも陣営の意気込みが伝わってきますね。

東京競馬場で行われる安田記念もコース適性としては合っているので、マイラーとしての資質が問われるような速い流れにならなければ力は発揮できるはずです。

 

エアスピネル 2着

道中は外目をスムーズに追走し、4角過ぎから進出すると直線は外に出して伸びての2着。やはり、直線の長い外回りだとピッチ走法のエアスピネルはどうしても最後甘くなってしまいます……。

今回のレースで勝つためには4角手前から俊敏に加速して後ろを一気に突き放してしまうレースで、リードを保って直線に入ればイスラボニータの追撃をしのげたかもしれません。

もっているポテンシャルが高いので1600〜3000mの距離をこなしてしまいますが、やはりベストは1800〜2000mだと思うのです……。中山芝1800mのGⅠがあれば間違いなく強さを発揮できるのですが、マイルだとGⅠが東京コースの安田記念と京都外回りのマイルチャンピオンシップしかなく、そこがピッチ走法のこの馬にとっては辛いところ。

安田記念も詰めの甘さを武豊騎手がどのように補うのかが見ものですね。

 

ヤングマンパワー 3着

松岡騎手が押してサンライズメジャーの番手につけ、直線で先頭に立つと残り50mまでしぶとく粘りこみました。

昨年、関屋記念と富士Sの重賞を連勝した時の自身の上りは33秒台後半で、マイラーズカップも33.6ですから力は発揮したレースだったと言えます。

4角で少しおから気味になったのはヤングマンパワーがストライドで走る馬だからで、東京や新潟の外回りに良績があることからも京都の外回りは適性としては合っています。ただ、京都の下り坂でスピードに乗れないのではないか?と想像したのですが、それほど苦にしていない走りでしたね。

安田記念も直線の長いコースですから、ストライドで走るこの馬には合っていて、上りが速すぎなければ好走のシーンも十分に考えられます。今後に向けて手応えをつかんだ1戦になりました。

 

ブラックスピネル 4着

スタートは五分に出ましたが、今日は控えて中団の位置取り。エアスピネルの直後につけて4角から追い出しますが、大跳びの馬でコーナーではスピードが乗らず前と少し離されてしまいました。外からストライドを伸ばして前を追いかけますが、この展開と今日の馬場では4着まで押し上げるのが精一杯。

M・デムーロ騎手がスタートから出していかなかったことからも、安田記念に向けて脚を測るような乗り方だったと思います。

マイラーズカップも4着と大きく崩れなかったことから力をつけていることは確かで、東京コースで行なわれる安田記念もきっちりと力を発揮してくるのではないでしょうか。

 

フィエロ 6着

好スタートから内枠を利して、逃げるサンライズメジャーの直後の位置で折り合いに専念します。が、折り合えず……。前走スプリント戦の高松宮記念を使った影響なのか、3角過ぎから直線に入るまでフィエロの前進気勢を福永騎手が抑えることができませんでした。

直線でイスラボニータに前をカットされて減速し、福永騎手も直線でほとんど追うところなく流れ込んでの6着。

福永騎手は馬をなだめる折り合いに関しては巧みな騎手で、それでもここまで持っていかれるのは珍しい……。

フィエロも8歳でスピード能力に衰えがあるのかなと危惧しましたが、福永騎手がこれだけ手を焼く馬というのはそれだけ待っているエンジンが「凄い」ことの証で、これはまだまだ競走馬として良いレースができるのではないかと期待のもてる内容でした。

 

予想

イスラボニータ、エアスピネルを切っているので、どうやっても当たりません…チーン……。

◎サンライズメジャーは思った通りのレースで、ここでは力が足りなかった…。

hakusanten.hatenablog.jp

  

まとめ

安田記念に向けて、有力馬の3頭がそれぞれジャブを打って相手をけん制するようなレースになったマイラーズカップ。

本番はコースもペースも異なるのでこのレースの結果がそのまま反映されるとは言えません。ただ、それぞれの馬の課題も浮かび上がった結果になったと思います。

春のマイル王はどの馬になるのか?

今から安田記念が楽しみですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。