池江泰寿厩舎のクラシック戦略(2017年)は?

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2017年、池江泰寿厩舎のクラシックは桜花賞に出走予定のミスエルテからスタートします。例年、クラシックに有力馬を送り込む関西の名門厩舎は今年も多士済々なメンバーがスタンバイ。

池江厩舎の今年のクラシック戦略はどのようなものになるのか?

今回の記事では所属する3歳オープン馬を紹介するとともに、ローテーションについても予想します。

 

クラシックを狙う3歳馬

まずは、牡馬・牝馬に分けて獲得賞金順に並べてみます。オープン馬は以下の5頭。

 

牡馬

ペルシアンナイト(GⅢアーリントンC1着)

アルアイン(GⅢ毎日杯1着)

サトノアーサー(GⅢきさらぎ賞毎日杯2着)

クライムメジャー(GⅢサウジアラビヤRC3着)

 

牝馬

ミスエルテ(GⅢファンタジーS1着) 

 

現3歳世代ではすでに重賞勝ち馬が3頭、重賞2着馬が1頭と、順調にGⅠに出走するための獲得賞金をクリアする馬が増えている池江厩舎。

 

クラシックを狙う牡馬は?

ペルシアンナイト、アルアイン、サトノアーサーは皐月賞とダービーに出走するための獲得賞金はクリアしているので、この3頭が牡馬クラシック路線の中心となります。ただ、 池江調教師が最も期待をかけていたサトノアーサーがきさらぎ賞2着、毎日杯2着と重賞を勝ちきれなかったことから、皐月賞ペルシアンナイトとアルアインの2頭出しで臨むことに。

もともと池江センセイは「ダービーが目標」と公言しているので、サトノアーサーが毎日杯で2着を確保した時、皐月賞をスキップして毎日杯からダービー直行のローテーションを組むことは想定できました。

「まず強く言いたいのが、僕は常々ダービーを勝ちたいと言っているということ。クラシックで言えばダービー、秋にはジャパンC有馬記念、そして凱旋門賞ブリーダーズCなどを勝つというのが目標です」

サラブレ 2017年4月号 P124

 2017年は「サトノアーサーでダービを!」と考えていた池江センセイにとって、きさらぎ賞毎日杯の2着は物足りない内容のはずで、ペルシアンナイトとアルアイン皐月賞の結果次第ではこの2頭のダービー参戦も十分あり得る…ただ、ペルシアンナイトもアルアインもマイル路線を中心としたローテーションを組んでいたので、池江センセイがダービーまで見据えていた馬とは言い切れない面があります。

 

ペルシアンナイト

父:ハービンジャー

母:オリエントチャーム(母父:サンデーサイレンス

シンザン記念は道悪と馬群に揉まれ通しで力を発揮できませんでしたが、続くアーリントンCでは直線外から豪快に差し切り、クラシックに出走するための賞金を確保しました。前3走は500万下こうやまき賞→シンザン記念アーリントンCとすべてマイルのレースを使われていることからも、春の最大目標は「NHKマイルC」だった可能性が高い馬です。

アーリントンC快勝から皐月賞へ向かうことが正式に決まりましたが、レースの結果次第とは言え、ダービーに参戦するのかどうかは「?」が付きます。アルアインとの兼ね合いで少なくともどちらかが「NHKマイルC」に回るでしょうから、ペルシアンナイトの皐月賞での走りは重要です。ダービーへ池江センセイがウハウハの3頭出しを叶えられるかどうか…

オリエントチャームゴールドアリュールの全妹で、祖母のニキーヤの父Nureyevからパワーとスピードの持続力を受け継ぎ、繁殖としても仔にその良さを伝えています。ここにハービンジャーですから、皐月賞の2000mは十分にこなせる距離と言えます。また、ダービーは2000mベストの馬が勝ちやすい舞台でもあることから、出走すればチャンスはあるかもしれません。

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アルアイン

父:ディープインパクト

母:ドバイマジェスティ(母父:Essence of Dubai)

ペルシアンナイトと同じように、シンザン記念に敗れた後、こちらは外厩で立て直し毎日杯に出走。きさらぎ賞2着で賞金を加算していたサトノアーサーと異なり、アルアイン毎日杯で賞金を獲得しておかないと今後のクラシックへ向けての選択肢が狭まるため、貴重な勝利となりました。1着アルアイン、2着サトノアーサーは池江センセイにとってはウハウハの結果。

アルアインがマイル近辺を使われていたのは、母ドバイマジェスティが現役時代にスプリンターとして活躍していたという血統背景もあったのだと思います。ディープインパクト産駒としては斬れ味は並で、その反面、毎日杯の最後の坂でサトノアーサーにしぶとく抵抗したのも、母系に流れるPulpit、Great Above、His Majestyなどからパワーを受け継いでいるからです。

阪神外回りの毎日杯を勝ったように、ストライドで走るタイプで、これも母系に入るA.P.Indyから受け継いだものと考えられます。ディープインパクト×スプリンターの配合はジェンティルドンナに代表されるように、2000m前後の距離を先行して抜け出す脚質に出ることが多く、アルアインも距離は2000m前後がベストになりそう。ただ、走法からは東京>中山なので、皐月賞よりもダービー、NHKマイルC向きです。

池江センセイが毎日杯アルアインを出走させたということは、ダービーに向けて…という布石に見えるので、この馬はNHKマイルCには向かわないと思うのですが…

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サトノアーサー

父:ディープインパクト

母:キングスローズ(母父:Redoute's Choice)

この馬がきさらぎ賞を使ったのは、明らかにダービーに向けたローテーションを組んでいたからです。重賞を走ったここ2走は単勝1倍台の圧倒的な人気を背負いながら勝ち切れずのレースが続いてしまいました。後方の位置取りにこだわったレース振りはいかにもダービーを狙っている感じがたっぷり。毎日杯→ダービーへ直行となるので、外厩での調整になるのでしょう。

池江厩舎にとっては、このディープインパクト産駒が2017年クラシックの中心的存在だったはずで、とにもかくにもダービーに出走するための賞金が確保できたのは大きい。

サトノアーサーもアルアインと同じように、父ディープインパクト×母父スプリンター(マイラー)という血統構成なので、母系からパワーを補っています。とくに、アーサーの場合はNorthern Dancerのクロスも多く、阪神の坂を32秒台の末脚で駆け上がるパワーはそこに由来しているのでしょう。

胴長の馬体はいかにも中距離馬のもので、走らせるとしなやかなのは父ディープインパクトらしさがあり、これはダービーでもと思わせます。

池江厩舎の2017年ダービーはサトノアーサー+アルアイン、あるいはペルシアンナイトという複数頭出しが考えられますね。

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クライムメジャー

父:ダイワメジャー

母:クライウィズジョイ(母父:トニービン

前走、阪神1400mの500万下を快勝し、NZTへ出走を予定しているクライムメジャーは出世は少し遅れましたが、NHKマイルCには間に合いそうです。新馬戦でアドマイヤミヤビに完勝したことからも、重賞で勝ち負けできる力は十分にあります。

ダイワメジャー、距離適性も1600m前後と池江調教師は見込んでいたはずで、当初からこの馬がNHKマイルへ向かう予定だったのでしょう。厩舎としてはペルシアンナイトとアルアインを向かわせたのも、マイル路線にはクライムメジャーがいるという思惑もあったから。

ダイワメジャー産駒らしく切れ味勝負では分が悪いですが、長く脚を使える持続力に優れたタイプ。

まだ500万下を勝ったばかりの馬ですから、NZTではNHKマイルCへの出走権だけではなく、2着までに入り賞金も加算しておきたいところです。もし、クライムメジャーがNHKマイルCの出走権を確保できなければ、ペルシアンナイトとアルアインNHKマイルCへという段取りなので…

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池江厩舎の3歳牡馬は良くも悪くもサトノアーサーが中心。ここに期待馬クライムメジャーがNHKマイルCに行けるかどうかで、ペルシアンナイトとアルアインのローテーションにも影響が出てきそうですね。

 

クラシックを狙う牝馬は?

池江厩舎の現3歳世代の牝馬の中で、最も早くから活躍を見せたのがミスエルテ新馬ファンタジーSの連勝はレースのインパクトもかなりのもので、牝馬ながら2歳牡馬のチャンピオンを決める朝日杯FSに出走させるほど素質を見込まれた馬です。

 

ミスエルテ

父:フランケル

母:ミスエーニョ(母父:Pulpit

母はクロスのうるさいバリバリのアメリカダート血統。母父のPulpitA.P.Indy直仔で、ミスエルテのしなやかなストライドはこの影響が強く出ています。

レースを使うごとにテンションが高くなり、競馬で力を発揮できないのは母系のクロスのうるささからくるものです。朝日杯4着からトライアルを使わずに桜花賞にぶっつけで臨むのは気性的な面からはプラス。

気性からも、桜花賞オークスと距離が延びて良さが出るとは思えないので、春のクラシックのローテーションはどうなるのか…

ミスエルテは血統の字面以上にしなやかさとバネがあるので、桜花賞の行われる阪神外回りやNHKマイルCの東京コースは適性として合っている舞台。桜花賞後にテンションがあまりにも高くならなければ、NHKマイルCに向かうことになりそうです。

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池江厩舎のクラシック戦略

牡馬は皐月賞、ダービーと複数頭の出走が見込めます。流動的なのはペルシアンナイトとアルアインですが、この2頭は楽しみの方が大きく、皐月賞の結果によってはサトノアーサーを含むダービー3頭出しもあり得る陣容です。

問題は牝馬。今のところオークス出走の可能性のある馬がいないので、この路線に乗れる馬が出てくるかどうか…

牝馬クラシックの第1冠目、桜花賞がいよいよ次の日曜日に発走ですから、オークスに向かえる牝馬が池江厩舎から出てくるのか?に注目です。

 

まとめ

2017年、池江厩舎のクラシックは牡馬優勢のメンバー構成。2歳戦はミスエルテがこの世代の中心でしたが、年明けからはペルシアンナイト、アルアイン、サトノアーサーときっちりとクラシック路線に乗せるのはさすがの厩舎力です。

池江厩舎が思惑通りにクラシック制覇がなるのか?

2017年も楽しみですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。