前で受ければパワーを振り絞れるーーダービー卿CT 回顧

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グレーターロンドンの回避で一転して混戦模様となったダービー卿CT。金曜日から降り続いた雨の影響でやや重たい馬場のレースに。

大外枠から気合をつけてハナを取りきったクラレントを2番手でがっちりとマークしたロジチャリスが4角手前からスムーズに仕掛け、直線は人気馬の猛追を凌いで1着でゴールし、初重賞制覇を飾りました。勝ちタイムは1:34.7(稍重)。

 

レース内容

ロジチャリスはスタートを決めて、内田騎手が押して押して前へ上がり、大外から気合をつけてハナを主張したクラレントを先に行かせ、2番手の位置を取ります。3番手に1番人気のキャンベルジュニアがスムーズに追走し、隊列がすんなりと決まって1000mの通過が60秒のスローペース。

4角手前でロジチャリスが先頭に立つ勢いでペースを上げて、直線は馬場の真ん中へ出すと後ろから迫るキャンベルジュニアと2頭での叩き合い。内からグランシルク、外からマイネルアウラートが伸びてきますが、ロジチャリスがきっちりと追撃を振り切って1着でゴールしました。レースの上りが11.5 - 11.6 - 11.6と34秒台後半になったのもロジチャリスにとってはプラス。最後は2〜4着馬に詰められましたが、さらに100mあっても後ろの馬には差されないだろうしぶとい粘り腰を見せていたので、着差以上の完勝でした。

 

ロジチャリス

中山のマイル戦はダービー卿の勝ちを含めて(2 - 0 - 1 - 1)の成績。着外に敗れたレースは直線で最内を突いて伸びてきたものの、ラスト100mから前が詰まり脚を余しての6着ですから、中山は適性がずんどばな舞台と言えます。

東京で3勝を上げていますが、本質は上りのかかる内回り小回りコースでパワーと機動力を活かすタイプですから、ダービー卿で前受けした内田騎手の騎乗はさすがの一言です。

引っかかることをおそれずに押して押して前のポジションを取りきったことが、ロジチャリスの勝因で父ダイワメジャー×母父ロックオブジブラルタルですから、パワーを振り絞る先行抜け出しがこの馬にもっとも合った乗り方だと思います。

土曜日の中山芝は午後から明らかな外差し馬場に変わり、ロジチャリスの内田騎手が直線で外目に出したのは好判断。雨量の割には思ったほど滑る芝にならなかったこともこの馬にとっては幸いしました。

 

今後は?

ダービ卿CTの勝利で、今後どのようなローテーションが組まれるのかは注目です。マイル路線だと、GⅠは安田記念マイルCSは直線の長い外回りコース。

ロジチャリスはパワーと機動力で走るタイプなので、東京と外回りの京都コースは適性としてはずれてしまい割引が必要です…ただ、直線の長いコースでもスローになれば機動力型が一瞬の加速で抜け出すこともできるので、展開次第でチャンスも生まます。

ロジチャリスはフィエロをさらにパワーに寄せて頑丈にしたタイプですから、直線の長いコースだとどうしても最後に甘さが出て…ピッチや機動力を武器に中山マイルを捲りで勝つような馬は、どうしてもマイルGⅠが鬼門になってしまうのです。

 

距離適性

ルージュバックの勝った'16年のエプソムカップで4着と掲示板に載ったように、距離はある程度融通が利きます。1600〜2000mまではこなせると思うので、内回り・小回りに拘るのであれば、サマー2000シリーズ中山記念などが今後の目標になりかもしれません。また、2000mを走ることができるなら、新設GⅠ大阪杯は内回りコースなので、楽しみも増えますね。

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キャンベルジュニア

シュタルケ騎手らしい好位からの競馬で、4角手前から仕掛けて直線でロジチャリスに並んだところでは勝ちパターンの競馬に持ち込めた、と思いました。

上りのかかる競馬もパワーを必要とする馬場もこの馬にとってはプラスの条件でしたから、残り100mからロジチャリスに振り切られ、グランシルクとマイネルアウラートに詰め寄られたのは少し不満が残る内容でした。

前半1000m通過が60秒フラットのスローペースも中距離馬のこの馬にとっては脚を使わずに追走できる理想の展開だったものの、欲を言えばもう少し流れてくれた方がぐいっと伸び切れたかもしれません。

ロジチャリスの仕掛けに合わせて、4角手前でシュタルケ騎手がスピードに乗せると外に膨れたように、しなやかな走りの分だけコーナーでコースロスが生じるのは致し方なし。そこからストライドが伸びずに他馬と同じ脚色に…敗因は不明ですが、これをキッカケに重賞戦線での活躍を期待したいところ。

 

今後は?

胴長の体型からも1800〜2000mが距離としてはベスト。東京1800mのエプソムカップなど東京の長い直線をストライドで走れるのかどうかを試してみるのも今後の選択肢を広げる意味でプラスかもしれません…こちらもロジチャリスと同じようにサマー2000シリーズに向かってくれると楽しみが増えます。

遅生まれですから、キャンベルジュニアもいよいよ5歳シーズンで完成期を迎えると思います。さらに一皮むけた走りができることを期待して。

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グランシルク

戸崎騎手らしい捲り差しで3着。ゴール前はキャンベルジュニアをスパッと交わすかのような勢いで伸びてきました。父ステイゴールド×母父Dynaformer(Roberto直仔)ですからパワーで中山を捲るのはお手の物の血統。Roberto的なパワー捲りが決まるかと思ったのですが、最後は勝ち馬や2着馬よりも内に進路を取った分だけ伸び負けた…とも言えます。

もう少しペースが流れれば…と戸崎騎手もレース後にコメントを出しているように、1分34秒前後の時計になればもう少し際どい勝負に持ち込めたかもしれません。ただ、本質的には一瞬の捲り脚を活かすタイプなので、スロー>ハイペースという適性ですから、あまりにも締まった流れになると差し損ねてしまいます。

重賞でも力は足りることはわかりましたが、今回の舞台設定はほぼベストの条件だったので、直線の長いコースや平坦なコースだと割引が必要です。

 

マイネルアウラート

グランシルクと同じステイゴールド産駒で、パワー型のマイラー。ゴール前は2、3着馬を交わすのではないかという勢いで伸びてきました。これで重賞は3着1回、4着が3回と惜しいところでの戦いが続いています。

う〜ん、このままだと重賞ではちょっと足りずに善戦し、オープン特別ではきっちりと勝っていくようなタイプになってしまうかもしれません。

道中はスローで上りのかかるコースであればしぶとさを発揮できるので、阪神、中山ではプラス評価。反対に東京や中京、外回りコースでは割引する必要があります(ただし、あまりにもスローのペースだと機動力型の加速が活きる場面も)。

 

まとめ

ロジチャリスの勝因は、1にも2にも内田騎手が引っかかるのを恐れずに前へと出して行ったことに尽きます。

「前で受けてパワーとスタミナを振り絞る」

ロジチャリスがいかにも父ダイワメジャーの巨漢馬らしいレースで勝ち切ったダービー卿CT

 

おそれずに前へ!

この言葉をプレゼントしたい馬が出走する大阪杯の前日に、素晴らしいレースが観れました。そう言えば、福永騎手はロジチャリスできちんと先行・前受けをしていたんですよね…

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これだけ期待してもおそらくアンビシャスは…

 

以上、お読みいただきありがとうございました。